SORACOM Blog

ソラコムの最新情報をお届けします

【新発表】 ソラコムがSIM認証基盤(HLR)を独自実装、eSIM提供を開始。Web APIを通じて、SIMのライフサイクルをより柔軟に管理可能に。

はじめに

2年前の9月30日、ソラコムはIoT通信プラットフォームSORACOMを発表いたしました。それから2年が経ちましたが、お陰様で8,000以上のお客様にお使い頂けるプラットフォームに成長してきました。そして、これまでお客様から沢山のフィードバックを頂き、そのフィードバックを基にできるだけスピーディに開発することで、これまで10種類以上のサービスと40以上の新機能を発表してまいりました。本日も、SORACOMプラットフォームの節目となる、新しい発表を皆様にお届けできることを非常に嬉しく思っております。

背景

ソラコムは、昨年の7月に、1枚のSIMで日本・米国・欧州・アジアを含むグローバルの国においてデータ通信をすることができる、グローバル向けのSIMを発表させていただきました。本日、そのグローバル向けのSIMが大きく進化します。

これまで、ソラコムはMVNOとしてSIMを提供してきましたが、そのSIMの認証自体は、MNO様の加入者管理機能(ユーザー情報を管理するデータベース、以下、HLR)を利用させて頂いておりました。今回、ソラコムがHLRを独自実装したことにより、ソラコム自身が発行し、認証するSIMを提供できるようになりました(この新しいSIMの名称はplan01sと呼びます)。

これにより、お客様は、SIMのライフサイクルや形状をより柔軟にコントロールできるようになります。IoT/M2M用途でSIMを組込むお客様の課題として、下記のような課題をこれまでお伺いしておりました。

  • メーカ様が製品や機器にSIMを組み込む際に、在庫時の通信コストを削減したい
  • さらに、工場での疎通確認のときは通信したいが、実際にエンドユーザ様が使うときまで停止させておきたい
  • 車載機器や工業製品の場合、カードSIMではなく、基板に組み込むチップ型のSIMで耐振動性等を高めたい

今回の発表により、これらの課題を解決することができる料金体系やより柔軟な回線管理、SIM形状を提供できるようになります!

今回の新発表

今回の新発表は、大きく分けて以下の4つとなります。

  • IoT向けの新料金体系を提供開始、通信しない期間は無料、APIを用いたより柔軟な回線管理が可能に
  • カード型の SIM に加えて、機器への組み込みが可能なチップ型 SIM (Embedded SIM)の提供を開始
  • 「SORACOM」独自のアプレットを組み込んだ SIM を提供
  • IoT/M2M 機器に適したセキュアな SMS サービスの提供を開始 (Public Betaリリース)

下記より個別に解説していきたいと思います。 SMSの発表に関しては、こちらのブログ記事で解説しますので、ご覧ください。

IoT向けの新料金体系を提供開始、通信しない期間は無料、APIを用いたより柔軟な回線管理が可能に

今回、HLRを独自実装したのみならず、それをお客様のニーズにあわせて、出来るだけWebコンソールやAPIを用いて操作できるように開放し、よりIoTのニーズにあった料金体系を提供できるようになりました。具体的には、以下のようなSIMの状態(ステート)の遷移を行えるようにしています。

まず、SIMを調達頂いたのち、Ready状態のときに基本料金は必要としません。1年に渡って無料でSIMを保持できるので、大抵の場合の在庫期間を無料でご利用することができます。そして、実際に、データ通信を行ったときのみSIMの基本料金が0.06 USD/日、必要となります。もちろん、いつでもSIMを解約することができ、その際に基本料金がかかりません。

また、利用開始後にしばらく使わない場合のステートが今回追加されたので(図の中の右側のステート)、データ通信が必要でないときに、いつでもSuspended(利用中断中)、Standby(利用開始待ち)のステートに遷移させることができ、その際には基本料金が無料になります。データ通信が必要になったときにはいつでも、アクティベーションをして、Active(利用中)に戻すことができます。その際にアクティベーション料金として1.8 USDが必要となります。

Ready, Suspended, Standbyなど、基本料金がかからない状態で、1年放置した場合は、更新料として1.8 USD必要となることはご注意ください。更新したあとは、さらに1年間無料状態が継続します。

上記のようなSIMのライフサイクル管理ができるようになったため、例えば、以下のような、「製造業のメーカ様がSIMを工業製品に埋め込んだ場合」のユースケースをサポートできるようになりました。

まず、メーカ様がSIMを調達し、製品に実際に組み付けるまではSIMを無料で保持できます。そして、SIMを組み込んだ製品を作成し、工場出荷時に疎通確認のテストを行うとすると、SIMのステートは一旦アクティブになるのですが、その後、出荷する際に、StandbyにいれることでSIMの基本料金は無料の状態でSIMを保持し続けることができます。また、その製品がエンドユーザ様の手元に届き、実際にデータ通信を行ったときにアクティベーション料金がかかり、SIMの基本料金が必要となります。メーカ様にとっては、実際に製品が売れてキャッシュが入ってくる際に、データ通信料金も実際に必要となるということで、キャッシュイン、キャッシュアウトのタイミングをあわせることができ、ビジネスモデルをより描きやすくなります。

もちろん、このステートの遷移の操作は、Webコンソールで個々に操作できるのみならず、APIを使って一括で沢山のSIMの状態遷移を行うことが可能です。また、エンドユーザ様が実際にデータ通信を使いはじめた際に、SORACOMプラットフォーム上ではそのイベントをトリガーとして捉えることができるので、例えばメーカ様からエンドユーザー様への課金を開始する、など様々なアクションを起こすことができます。

機器への組み込みが可能なチップ型 SIMの提供を開始

ソラコムでは、これまでカード型SIMをご提供してきましたが、今回、チップ型SIMの提供を開始します。MFF2(Machine to machine Form Factor 2)と呼ばれる5×6mmの非常に小さいサイズの IC チップに SIM の機能を搭載しており、通信デバイスに組み込んでご利用いただけます。チップ型SIMは、電子基板上に直接組み込むため振動等に強く、車載や工業製品など M2M/IoT 向けに最適です。今回、このチップ型SIMはリール型で提供されるため、3,000個から提供されますが、テスト目的などで10〜20個必要な場合は、こちらからお問い合わせください。

「SORACOM」独自のアプレットを組み込んだ SIM を提供

さらに、ソラコムが発行するSIMの上に、独自アプレットを組み込んで提供することが可能になりました。ご存知の方も多いと思いますが、SIMは、一見するとただのチップに見えるのですが、そこではOS (オペレーティングシステム)が動作しており、その上で、Javaのアプレットを実行することも可能です。

今回、SORACOM SIMアプレットの第一弾として、「SIM Local Info レポート機能」の提供を開始しました。これは、SIMからデバイス側でしか取得できない情報を取得し、SORACOMプラットフォームにアップロードすることで、お客様がいつでもWeb/API経由でSIMのLocal Infoを取得できるようにする機能です。現時点では、限られた情報のみが取得でき、また対応しているデバイスの種類なども限られ、現状Public Betaでの提供となりますが、今後、お客様のフィードバックに基づいて拡張していく予定です。

また、今回のSIMでは、アプレットを用いることで、SIMのIMSI (識別番号)を切り替えることが技術的に可能となっています。例えば、以下の図のように、欧州の諸国を走っている車が、国境などを超えた際に、より適切なキャリアのIMSIが存在した場合、それをOTA (On The Air、つまり無線通信経由)で、書き換えることも可能となります。こういったユースケースをご所望のお客様は、こちらからぜひお問い合わせください。今後、OTAによる切り替えなども含めてサービス化していく予定です。

SORACOM SIM (plan01s)の利用料金

さて、今回発表したplan01sの利用料金は以下となります。

初期費用

  • カード型 5 USD / 枚
  • チップ型 6 USD / 個 (MOQ 3000)

通信料金

  • 基本料金 0.06 USD / 日 (利用開始前、利用中断は基本料金無料)
  • データ通信料金 0.08 USD / MB 〜

また、月あたり数MBしか利用しないという場合には、Low Data Volume (LDV)に特化したplan01s-LDVのプランも用意しています。こちらは、データ通信料金は割高となるかわりに、基本料金は 0.4 USD / 月となる、少ないデータ容量を使うユースケースに特化したプランとなります。詳しくは、こちらの料金表をご参照ください。

さいごに

さて、今回の新発表いかがでしたでしょうか?これまで沢山のお客様フィードバックを頂き、またそれに応えるためにチーム一丸となって技術的イノベーションに取り組んだことで、SORACOMのクラウドネイティブなプラットフォームをさらに拡張することができました。この技術的な差別化のみならず、お客様のご要望をいただくことで、ビジネス面でもよりお客様に使いやすい形の料金面やユーザビリティを提供したいと考えております。

今回の発表が、お客様が特に求められている「通信資源を必要な時に、必要なだけ、簡単に使える仕組み」に対して、我々がオープンでフェアなIoT通信プラットフォームとしてのあるべき姿に、少しでも近づけたなら非常に嬉しく思います。

これからも沢山フィードバックを頂ければ、それにお答えできるように努力していきますので、今回の発表に関してもplan01sのカード型SIMは1枚単位でWebコンソールからご購入いただけますので、早速触ってみて、ぜひ Twitter, Facebook, お問い合わせからフィードバックを頂けると嬉しいです!

Still Day One 玉川