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LoRaWAN Conference キーノート 全文書き起こし(1)

みなさんこんにちは、ソラコムマーケティングの熊崎です。
先日行われた LoRaWAN Conference 2017のキーノートの講演を書き起こしブログをお届けします。当日来られなかった方、ご都合の合わなかった方に是非、新発表の詳細、ソラコムの思いを感じて頂ければと思います。

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5000のお客様が利用する IoT通信プラットフォームSORACOM

玉川:本日は、LoRaWANカンファレンスにお越しいただき、誠にありがとうございます。今回1,000名以上の方にお申込みいただきました。

昨今、IoTが非常に注目されています。あらゆるものがネットワークにつながり、クラウドのようなコンピューターリソースが出てきて、ビッグデータが集められるようになり、コンピューターの上で分析をし、今まで分からなかったことが分析できるようになり、その結果を次のアクションにつなげていくというIoTの世界観に、私も非常にわくわくしています。ただ、IoTをしっかり実現しようとすると、通信部分に困るお客様がたくさんいます。今、今回のカンファレンスのテーマであるLoRaWANのようなIoT向けのラストワンマイルが非常に注目されています。

keynote

最初にソラコムがどういう取り組みをしているのか簡単にご紹介します。ソラコムはLoRaWAN対応を開始する前から、IoT向けのデータ通信に取り組んできました。2015年9月30日、モノ向けの通信サービスSORACOM Airの発売を開始し、Amazonでも我々のウェブサイトでもどなたでも1枚から買えるようになっています。そしてSIMカードですので、タブレット・スマホのみならず、モバイル通信が使えるあらゆる端末で使えます。ウェブ上のユーザーコンソールで、速度変更や開始休止の管理など、通信を全てコントロールできます。これまでに沢山のアワードをいただき、今では5,000以上のお客様にご利用いただいています。事例の公開許諾をいただいているお客様の中から、面白い事例をいくつかご紹介します。

5000customers

まず、帯広のバス会社の十勝バス様です。全てのバスにSORACOMを使い、バスの位置情報をクラウドに上げています。十勝バス様のスマホアプリで、リアルタイムのバスの運行情報がわかります。北海道では雪の影響でバスが遅れがちなので、お客様にとっては非常に便利です。

楽天Edy様。クレジットカードの決済端末にSORACOMをご利用いただいているので、どこでも決済できます。特に仙台の楽天koboスタジアムでは、球場のビールの売り子の方々に使っていただいています。試合があるときだけ端末を使えばいいので、無駄に通信料を払わなくて済みます。

日本交通のIT子会社のJapanTaxi様。タクシー利用時に、後部座席にタブレットがある場合がありますが、タブレットで乗車されたお客様に向け動画広告が配信されます。その通信にSORACOMを使っています。

新しい事例、コマツ様です。IoTの一番前を走られています。スマートコンストラクションで建機とクラウドのデータ通信において、SORACOMを使っています。

このような事例は全て我々の従量課金モデルでできるだけ安く使った分だけお支払いいただくというモデルです。例えば十勝バス様の位置情報を送るようなユースケースのデータ通信料は約300円です。決済端末は、1日1,000決済したとしても、毎月約350円。広告配信などデジタルサイネージは、仮に16MBのデータを夜中に送ると、約400円。業務端末では、毎月300MBのデータ通信をした場合500円ぐらいと。こういった価格帯であらゆるものをつなぐための通信プラットフォームを提供しています。

soracom-price

共にIoTに取り組むパートナー様もたくさん申請いただき、現在260社以上。実績や事例のある認定パートナー様は57社。組み込み系のデバイスを使えるデバイスパートナー様やクラウドのソリューション等を提供されているソリューションパートナー様、システムインテグレーションを行われているインテグレーションパートナー様、ネットワークをご提供いただくネットワークパートナー様。多くのパートナー様に支えられて、ビジネスを展開しております。
SORACOMが使える認定デバイスも、60種類以上になっています。

certified partner

IoTに特化した SORACOM のサービス

ソラコムのようなベンチャーがどういった通信プラットフォームを提供しているかというと、物理的な資産を持たずバーチャルキャリアという位置付けです。基本的に、携帯通信事業を提供するためには多くの基地局、大規模なデータセンターを資産として持つのが普通です。ソラコムは、携帯通信事業者から基地局を借りL2接続という契約を行い、そこから専用線をクラウドに引き、クラウド上でソフトウェアを実装し、拡張可能なソフトウェアとして、この携帯通信コアシステムを作っています。資産を持たない分、できるだけ安くお客様に還元するという考え方で事業を行っています。

2015年9月にSORACOM Airを提供開始してから、多くのお客様のフィードバックをいただき、フィードバックを元に新しいサービスや機能を開発することを続けています。下図の赤字部分が新しいサービスです。

service road map

1年間半で10個新サービスを発表しています。提供開始したサービスも、お客様のフィードバックに基づき、34回新機能を発表しています。特にIoTということで、セキュリティーに対する要望が非常に大きいです。皆さん様々なものを繋ぎたいと思われていますが、セキュリティーのリスクがあります。その対策をということで、セキュリティーに関するご要望をいただき、新しいサービスに反映させています。

例えば今一番引き合いが多いのが、SORACOM Canalです。Canalは運河という意味で、SORACOMのSIMを入れ、データは携帯通信を通り、専用線を通って、SORACOMの中に入ってきます。SORACOMがAWSというクラウド上で動いているため、そのままお客様のAWSクラウドにデータを流し込むことができます。つまり閉じたネットワークの中でデータを送り、1度もインターネットに出ない環境を作っています。これが簡単に提供できるということで、このSORACOM Canalは非常に注目をしていただいております。

またクラウドに入れるのでなく、自社のデータセンターに入れたい場合は専用線でつなぐSORACOM Directや、専用線を引くまでではないが、閉域網でつなぎたい場合は、VPNでつなぐSORACOM Doorがあります。元々SORACOM Airを持っており、その上にネットワーク系のサービス4種、アプリケーション系のサービスが4種あり、合計9個のサービスを、全て従量課金で提供しています。

service map

また2016年の春に30億円の資金調達をして、トヨタ自動車も出資する未来創生ファンド様、三井物産様等から資金調達して、グローバル展開を発表しました。SORACOMの仕組みはソフトウェアでできていますので、海外展開にはこの資産を活かせます。海外展開は既に始めており昨年の11月、アメリカでSORACOMのSIMを提供開始しました。アメリカのAmazonでも販売しており、AT&TとT-Mobile、両方のネットワークが使えます。このSIMカードは、グローバル版ということで、1枚で120の国と地域で使えます。まだ日本では販売していませんが、年内に販売できればと思います。ソラコム自体もグローバルなチームに発展しています。

LoRaWAN Conference キーノート 全文書き起こし(2)に続きます。